ヒーローってなんだ?

ダルさんがヒーローになるために思った事を綴るblogです

再会 -ダークヒーロー編②-

登場人物 

マナブ…3つの人格を持つ男。父親を亡くした過去の事件のトラウマで解離性同一性障害となる。現在は精神病を患う母を救うために生活をしているが母が悩みのタネでもある。ファースト・セカンド・サードと人格を呼び分ける。本名はマナブ。

 

エイタ…両親を失った3兄弟の長男。乱暴者で身体能力に長けている。

オリエ…3兄弟の長女エイタの妹。柔軟性に優れ潜入と変装が得意。

カンタ…3兄弟の末っ子。実は血がつながっていない。頭脳に長けている。

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更に数年後…

 

職員A「あぶッ、危ない!」

 

ブランコを大きく揺さぶり、飛び降りるカンタ
オリエはブランコの柱を平均台のように移動する

 

職員A「降りなさい!」

 

三兄妹の身体は擦り傷が目立つ

 

職員A「何度言ったらやめるの?小さい子が真似するでしょ?」

エイタ「アニキ元気かな?」

職員A「…うん、元気よ」

オリエ「嘘だね、その顔は嘘ついてる」

カンタ「何かあったのか?」

職員A「お母さんが入院しちゃったみたいで」

エイタ「なんだ、アニキじゃなくて良かった」

職員A「…また別の誰か…」

エイタ「え?」

職員A「私が話したのは、セカンドくんじゃなかった」

エイタ「その呼び方やめろよ、アニキに失礼だろ」

オリエ「誰なの?」

職員A「わからない…でも、マナブくんでも、セカ…アニキくんでもない誰か」

カンタ「ファースト、セカンド…サード?」

職員A「まだ確信はないけど…そう呼ぶしかないかな?」

カンタ「ん?なんだあれ?太陽が…欠けてる」

オリエ「光が…遮られていく」

職員A「日本では部分日食だけど、他の国では来年皆既日食が見れるらしいわ」

エイタ「月ってのは太陽と比べたら400分の1の大きさしかない。でもこうやって覆い隠せてしまう。」

職員A「何急に?」

エイタ「ちっぽけな俺達でも、裏側から見たら大きく見えるんだ」

 

エイタ退所の日

 

エイタ「今までお世話になりました」

オリエ・カンタ「お世話になりました」

施設長「オリエちゃんと、カンタくんはまだいても良い年だから、困ったことあったら戻ってきなさい」

オリエ・カンタ「はい!」

 

三人が施設を背に歩いていく

 

職員A「本当に大丈夫かしら」

エイタ「…寂しいか?」

カンタ「…」

オリエ「…フフフ」

カンタ「プッ…!」

 

オリエとカンタが目を合わせて

 

オリエ・カンタ「自由だー!!」

エイタ「フククク…ようやく良い子ちゃんの仮面が外せる!これからもっと楽に暮らしていこうぜ!

オリエ・カンタ「ねー!」

エイタ「俺達には親も、家もない!失うものなんて何もない!巷は得るもので溢れかえってる!何でも持ってる奴から少しくすねるくらい…何でもねぇわ!」

オリエ「でもシャワーは浴びれる方が良い」

エイタ「そりゃ当然だ!」

カンタ「どうするの?」

エイタ「俺に良い考えがある」

 

3ヶ月後


夜、シャワーの音が聞こえる
PCを操作しているカンタ
レーニング中のエイタ
スポーツジム

翌朝

車で寝ている3人
車の窓をノックする音


ジム職員「ご苦労さま、じゃあ鍵預かるね」

エイタ「毎度どうも、中の確認だけお願いします!」

 

しばらくして

 

ジム職員「いや〜、バッチリだね。気持ち良いわ!また頼むよ」

エイタ「大掃除じゃなくとも定期もやってますので」

ジム職員「あそう!んじゃ検討させてもらいますよ」

 

支払いを受け取るエイタ
ドアを閉めると車が走りだす
車内から会釈する三人

 

エイタ「どうだ?」

カンタ「とりあえず、700人分の情報を確保。ここの会社は大きそうだな〜」

エイタ「この前の水害で一般家庭も入りやすいはずだ」

カンタ「んじゃ、あの辺狙いますか!」

オリエ「いつになったら、くすねるんですか」

エイタ「シャワーくすねてるだろ。3年くらい我慢しろ!」

オリエ「3年!?」

エイタ「隅から隅まで調べ尽くしたらどうなる?家や会社の構造、カメラの場所、セキュリティ。知り尽くせば、どこからでも侵入し、どんな隙間にでも隠れることが出来る。つまり…」

カンタ「最強!」

エイタ「だろ!それまでは人に尽くすんだよ。何も悪くねぇ。」

オリエ「はいはい…」

 

別の日

川沿いの鰻屋

 

オリエ「なんなのよ!全然落ちない!」

エイタ「根気よくやれ、名店だぞ」

 

しばらくして店の屋上

カンタがカメラを構えて写真に納めている

 

カンタ「ん?」

エイタ「どうした?」

カンタ「こんな時間に…何してるんだ」

エイタ「見せろ!…ん?なんだありゃ?」

オリエ「どうしたの…!ッ」

エイタ「(伏せろ)」

カンタ「まずい、こっち見られたよ」

 

その一方

川の橋の下

 

No.2「どうした?」

No.1「人影が動いた気が…」

No.3「ちょっくら見てくるか」

No.1「頼んだ」

 

No.3が近づいてくるが建物から出る事の出来ない3人。

 

エイタ「(静かに…動くな…)」

 

エイタ達のいる屋上に近づく足音
扉が開く

 

?「こっちだ」

カンタ「!?」

オリエ「え!?」

エイタ「アニキ!(とっさに小声に)」

 

そこに現れたのはマナブ

顔半分がバンダナで隠れていたが、エイタは目を見てすぐに気付く


第三の人格、後にラゴウとなる男である

今は自身をサードと呼び分ける

裏口から、屋根をつたい次々家を渡りその場から離れる

 

No.3「誰かいたようだ、どうする?」

No.1「放っておけ」

No.3「良いのか?見られたかもしれないんだぜ?」

No.1「大丈夫だ」

No.3「なら戻るぜ」

No.1「明日だったな。No.2」

No.2「ああ、マジックショーだろ?」

No.1「楽しみだ」

 

ダイス達は夜な夜な活動を続ける
その一方…

 

エイタ「ただの工事作業員じゃなかったぜ?」

カンタ「あれ、のっぺらぼう?…あそこ、戦時中防空壕だったんでしょ?」

サード「あれはマスクだ」

オリエ「マスク!?」

サード「最近になって知ったが、奇妙な言葉を使う連中だ。恐らく暗号で話してる。俺も今調べてる最中だ。…そんな事よりも…久しぶりだな!」

 

カンタ「アニキ!会いたかったよ!」

エイタ「元気そうで良かった」

サード「お前たちもな!」

 

その後、サード人格のマナブの家で

姉弟は離れていた間の話をした。

 

サード「これは凄い…」

 

エイタ達が作り上げた

街の資料を見ている

 

エイタ「まだまだだが、ありとあらゆる場所を知り尽くせば、この街でうまく立ち回れる」

サード「お前たちは盗みをしているのか?」

エイタ「いやいや、まだしてない、真面目に清掃業やってるよ」

サード「まだ?…良いか、盗みはダメだ」

エイタ「何言ってんだよ、アニキが教えてくれたんだろ?少しずつ盗れって」

サード「俺じゃない…」

オリエ「…そっか」

セカンド「もしするなら、マスクをしろ」

カンタ「え!?」

セカンド「あののっぺらぼう共を利用するんだよ、同じマスクを作れば俺たちではなく、奴らがやった事になる」

エイタ「流石アニキだぜ」

サード「ダメだ!ダメだ!危険すぎる…あいつらが何なのか知らないうちに」

エイタ「今は、真面目アニキの方が強いんだな…なら調べようぜ」

サード「深入りは良くない」

エイタ「そもそも怪しい奴を調べ上げるんだぜ、俺たちが正義だ!」

サード「正義…」

エイタ「ヒーローだよ、ヒーロー!」

カンタ「そっか!ヒーローになれば良いんだ!」

サード「ヒーロー?」

オリエ「全く男どもはいつまでも子どもね」

サード「奴らは先日の水害を利用して、何かの工事を進めている。単なる工事業者じゃないってのはわかってる。もう少し調べてみよう…」

 

4人のヒーローライフが始まる。